こみ上げる酸っぱさや不快な胸やけ~食後のその症状は逆流性食道炎かも
医療法人社団 こころとからだの元氣プラザ
医師 伊藤 秀幸 監修
(元氣プラザだより:2025年12月号)
毎年12月11日は、「胃腸の日」です。「胃(1)に(2)良い(11)」の語呂合わせから2002年に制定されました。この機会に1年間働き続けてくれた胃腸を労わり、改めてご自身の健康と向き合ってみませんか?
今回は「胃腸の日」にちなんで、胃腸の病気「逆流性食道炎」についてお伝えします。
逆流性食道炎とは
胃粘膜から分泌される強酸性の胃液が逆流すると食道粘膜に炎症を引き起こすことがあります。これが「逆流性食道炎」で、日本人の成人のうち1~2割に逆流性食道炎があると推定されています。命に関わるようなことは少ないものの、日常生活に影響を及ぼすこともあり、生活の質(QOL)を低下させます。
健康な人でも胃酸の逆流が起こることはありますが、逆流している時間が短いためそれほど問題になることはありません。逆流している時間が長くなり、食道に長く酸が留まることで酸に弱い食道粘膜を傷つけ、炎症が起きることが問題となります。
逆流性食道炎の自覚症状
症状には、酸っぱいものが上がってくる「呑酸(どんさん)」や、みぞおちの辺りから胸にかけてじりじりと焼ける・しみる・熱くなる感じがする「胸やけ」があります。他にも、胸がつまるような痛み、喉(のど)の違和感(慢性的な咳、声のかすれ、飲み込みにくさ)などもあります。喉や咳の症状は、胃酸が喉の辺りまで逆流してしまうことで起こります。胃酸が逆流しやすい時間帯は食後2~3時間ですから、食後にこうした症状が現れる場合は、あなたの食道でも胃酸の逆流が起こっている可能性があります。

どうして逆流性食道炎になるのか
健常な状態では食事後の胃の内容物が逆流しない仕組みとして、食道と胃の境目に「下部食道括約筋」という筋肉があり、食道から胃に食物が通るとき以外はこの筋肉を締めることで、胃から食道への逆流を防いでいます。

しかし以下のような要因でこの筋肉が緩み、逆流しやすくなってしまいます。
●加齢による筋肉の衰え
●食べ過ぎ・早食いなどによる胃内圧の上昇
●肥満や衣服の締め付けによる腹圧の上昇
●高脂肪食やアルコールの取り過ぎ
●食道裂孔ヘルニア(本来腹腔にある胃の一部が胸腔に脱出する状態)
また、食道から胃に食物を送る働きが弱まっている人は、逆流した胃酸をもとに戻しにくくなるため、食道に胃酸が留まりやすくなります。
逆流性食道炎の診断
逆流性食道炎の診断は、患者さんの自覚症状を把握する問診と、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)により行います。呑酸と胸やけが代表的な症状ではありますが、胸やけを胸痛と感じることもあるようです。食道に炎症があるかどうかは、内視鏡検査で直接食道の粘膜の状態を見ることで判断でき、がんや潰瘍など他の病気ではないことも確認できます。

逆流性食道炎の治療
逆流性食道炎の治療は、大きく分けて「飲み薬の服用」と「生活習慣の見直し」の二つが基本となります。
【飲み薬】
症状や炎症の程度に応じて、以下のような薬で対応します。
● 胃酸の分泌を抑える薬
● 胃酸を中和する薬(制酸薬)
● 食道の粘膜を保護する薬
【生活習慣の見直し】
呑酸や胸やけが気になる方は、早めの検査を
呑酸や胸やけといった症状が長く続いたり繰り返す場合は、早めに医療機関(消化器内科)を受診し、食道粘膜の状態を直接確認できる内視鏡検査を受けることをおすすめします。
健康診断や人間ドックでの上部消化管内視鏡検査を利用するのも、定期的に食道の粘膜を確認する1つの方法です。当法人では、上部消化管内視鏡検査に経口と経鼻内視鏡※1を選択することもできますので、お気軽にご相談ください。
これからの忘年会や新年会、胃腸をいたわりながら楽しみましょう!