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健康コラム

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「紫外線」ピークは初夏から!~日焼け対策はできていますか?

医療法人社団 こころとからだの元氣プラザ

産業保健部 医師 稲垣 みさ

(元氣プラザだより:2024年6月号)

紫外線による皮膚への影響

日光による紫外線を適度に浴びることは、体内でビタミンDを生成し、健康な骨を維持するために必要です。

しかし、一度に大量の紫外線を浴びると、皮膚が赤くなる「サンバーン」と、その後黒くなる「サンタン」を引き起こします。「サンバーン」は痛みを伴い、水ぶくれができることもあります。まさに皮膚が“火傷している”状態です。また、皮膚が紫外線を吸収すると皮膚表面の細胞が傷つき、それを修復しようと炎症が起こります。「サンタン」は、その炎症の過程でメラニン色素を作る色素細胞が刺激され、メラニン色素を大量に作った結果生じたものです。 

日焼けの皮膚症状は一時的ですが、長年紫外線を浴び続けると、皮膚の老化(シミやシワ)だけでなく、皮膚がんにつながることもあります。また、紫外線によって皮膚の免疫が抑えられることで、普通の人では問題ない程度の日光でもさまざまな皮膚症状が出てしまう「光線過敏症」を発症することもあります。

UV-AとUV-B

紫外線は可視光より波長が短い光線で、波長によりUV-A(400nm~315nm)、UV-B(315nm~280nm)、UV-C(280nm~100nm)に分類されます。UV-Aは大気による吸収をあまり受けずに地表に到達し、UV-Bはオゾン層により大部分が吸収され、残りが地表に到達します。UV-Cはオゾン層と空気中の酸素分子で全て吸収されるため、地表には到達しません。

波長が長いほど皮膚の深くに入り込む性質がありますが、日焼けを起こす力はUV-BがUV-Aの600~1000倍強いとされています。ただし、UV-Aは日光に大量に含まれているため、サンバーンへの関与はUV-Bが7~8割、UV-Aが2~3割とされています。また、皮膚の老化や皮膚がんへの影響もUV-Bの方が圧倒的に強いとされていますが、UV-AはUV-Bよりも皮膚の深くに入り込むため、無視はできません。

日焼け対策

①日光を不必要に浴びないようにする
スポーツといった屋外の活動は気持ちがよく、気分転換となります。しかし、海で身体を焼く等、日光を不必要に浴びることは避けるべきです。

皮膚に当たる紫外線量を減らすため、日陰を歩く、日傘や広いつばのある帽子を用いるといった対策は有効です。腕の日焼けを防ぐグローブも有効ですが、熱中症予防対策という観点では、グローブが皮膚に密着することで汗が蒸発しにくくなるため、常時着用することは控えた方が良いでしょう。
 
②サンスクリーン剤(日焼け止めクリーム)を塗る

サンスクリーン剤は、含有成分が紫外線を吸収する、または含有成分により紫外線を跳ね返すという作用により日焼けを防止します。

「SPF30、PA+++」といった表記は、サンスクリーン剤の性能を表しています。SPF(Sun Protection Factor)はUV-Bに対する防御効果を表しており、最大値は50(SPF50以上は50+の表記)で、値が大きいほど効果が高まります。PA(Protection Grade of UVA)はUV-Aに対する防御効果を表し、+から+++の3段階で、+が多いほど効果が高まります。

図1は生活シーンに合わせた性能の目安(日本皮膚科学会推奨)を示しています。サンスクリーン剤は塗る量と頻度が重要です。量の目安は顔で真珠2つ分、頻度の目安は3時間に1回です。使用状況の調査から、塗る量や頻度が不十分なことが多いと分かっています。商品の性能だけでなく、使い方にも注意しましょう。

図1 生活シーンに合わせたサンスクリーン剤の性能の目安

ご精読ありがとうございました!

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